「ひとりごと」を10ケ月も休んでしまった。そろそろ再開しよう。
四国の僻地の山村での話である。
もともとみかんの産地であったが、台風の大きな被害とその後の価格下落でみかんの栽培ができなくなり、ほかの産業もなく、耕地も少なくて若者は町へ出てしまい、65歳以上が50%という過疎の村である。
農協の職員の1人がこの村でできることを一生懸命に模索した結果が、刺身の”つま”と山の”葉っぱ”を結びつけることであった。
焼き魚にはもみじの、しかもいろ鮮やかな朱色はどういう品種のもみじと言う具合に原料探し、新しい品種のもみじ栽培へと年々高度化してゆくが、それはお年寄りが興味を深めて自ら考え行動してゆくらしい。お弁当にはさくらのつぼみの小枝になにかをくくり付ける二次加工まで加わり、提供できる商品品種はいまでは何百種とか。
もともと山村ゆえにお年寄りも山へ入るのはお手のもの、扱うものはいとも軽いし、原価はほとんどただに近い。80歳を超えた人がパソコンで売れ筋の商品を探し、自分の毎日の売上実績をチェックしているさまはまさに驚きである。
勿論前述の職員ひとりがデータ管理を引き受け、大都市の市場との販売交渉をしているらしいが、お年寄りの中には年間売上数百万円というのもある。
もっと驚くのはみんな生き生きしているのと、村で寝たきりの老人は2人しかいないということである。
これは5月2日の夜のテレビ番組で見たばかりのことだが、学ぶべきことは大変多い。」