2月28日(小生の誕生日)、10年ぶりに故郷の熊本に帰省するため早朝からハンドルを握る。
小生は、熊本県八代郡の寺(圓覚寺)の長男として生まれ、本来なら僧侶として生活をしているはずが、なぜか国鉄に就職し、サラリーマンとして人生を終えようとしている。
小生が3歳のとき母は病のため他界し、その後、12歳年上の姉(長女)が母親代わりとして今日まで面倒を見てくれた。
今回の帰省は、故郷で一人暮らしをしている姉への恩返しを兼ねての温泉旅行である。
日奈久温泉(熊本県八代市日奈久)は、種田山頭火が愛してやまなかった、今もなお昔の温泉情緒が漂い、江戸時代には、細川家の潘営温泉に指定され、八代城主や参勤途上の島津公もよく利用していたそうである。
早めに宿に入り、お茶を飲みながら昔話に花が咲いた。その後、小生が「さあ、三人で温泉に入ろう」と声を掛けると、姉がビックリして「え・・・、三人で一緒に入るの?」。(事前に家族風呂を予約していた)
姉の背中を流しながら、母はどんな人だったのかな・・・涙が出て止まらず温泉水と。
3日間の楽しい涙の温泉での姉孝行も別れの時がやってきた。また、いつ会えるかわからないが姉の健康を祈りながら実家に姉を残し故郷を後にハンドルを握った。
最後に、山頭火(行乞記)から
「温泉はよい、ほうとうによい。ここは山もよし、海もよし。できる事なら滞在したいのだが、いや、一生働きたくないのだが・・・」
圓 栄昭 (顧問)